我が家の猫、ねぎまが大学病院で鼻腔内リンパ腫と診断が下され、放射線治療と抗がん剤治療を提案されたが、それらの治療は受けさせないことにしました。
ねぎまの場合は、です。この猫の性格や体の状態を考えて、保護猫の施設の代表にも相談し、友人から参考意見をもらって決断しました。
ネットでは「具合がわるかったらすぐ病院へ」「治療法」「高度医療をして乗り越えました」等の情報ばかりで、治療をしない選択をしたという事例があまり見つからなかったので、私が書こうと思ったんです。
保護猫の施設でよばれていた名前が「ねぎま」
ねぎまは4年前の春、保護猫の施設からもらい受けました。その時3歳くらいで7㎏以上ある白黒ハチワレの大きな猫でした。
猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)が陽性ですが、よく食べ陽気な猫です。うちに来た頃はまだ子猫のようにおもちゃで遊んでいました。
大学の動物病院での検査結果は鼻腔内リンパ腫
昨年春ころから、猫の右目からいつも涙が出るようになりました。そしてだんだん鼻と右目の間が徐々に膨らんで、ちょっとずつ顔がアシンメトリーになってきました。
9月くらいになると、ちょっと目立つようになってきて、ホームドクターに見てもらったら、もしかしたら腫瘍かもしれないとのことで、CTスキャン検査してもらうために大学病院を紹介してもらいました。検査結果は鼻腔内リンパ腫でした。
腫瘍が頭蓋骨を溶かしながら大きくなっていて脳にも浸食しているとのこと。いつ痙攣がおきても不思議ではない状況。
治療しても完全には治らない病気だが、治療したら6か月から2年、それ以上生きる可能性もある。治療をしなければ短ければ2か月とのことでした。1週間後から放射線治療をしていくとのこと。
治療内容は放射線照射5回と抗がん剤投与16回かそれ以上
提案された治療は、まず放射線治療が5日間、毎日。その後、周期的に抗がん剤を投与する、抗がん剤の期間は様子をみてなので何回になるかわからないが、16回くらいにはなるとのこと。これ、全て毎回、麻酔もするということになります。
治療は朝9時に連れて行って、治療が終わって麻酔から覚めて、引き取りできるのが18時くらい。猫にも私にもたいへんな負担です。
でも猫は目の上にコブはあるが病気という感じがしないのです。いつも通り元気で、にゃーんと甘えてきます。
病院に通うことになったら、ねぎまの性格からして相当なストレスになる。検査の時もずっと震えて、ハッハッハッと犬みたいな呼吸をしていた。家に帰ってからも、ショックからしばらく食欲が無くなり排泄も不規則。
こんなじゃ治療でよくなる前に、病院へ行くストレスで猫がちがう病気になりそうだなんて感じていた。
次の大学病院予約日までの1週間、考えた
Facebookグループの里親の会に書き込んで相談すると、「治療頑張れ。」「応援している。」「前に飼っていた猫も同じ治療を受けた。」など励ましてもらった。
保護猫施設に相談した。忙しい施設長が時間を作って話を聞いてくれた。するとその施設長、高度医療はしない方がいい場合もあるとおっしゃる。
「保護して命を救ったけど、猫は自然の生き物だから高度医療の延命はどうかと思う。去勢や怪我の治療とはちがう。痙攣が起きたら毛布でくるんで、収まるまで抱きしめてあげればいい。」
何年か前に愛犬を亡くした友人に相談。「そこまでの治療はしなくていいと思う。私ならしない。動物なんだから治療で苦しめるより自然に生きて自然に死んだ方がいい。」
母にも相談「長い治療の間、飼い主が猫から憎まれるよ。死ぬまで仲良く信頼でつながっていた方が幸せじゃないの。人間とちがうから聞き分けないよ。」
ねぎまにとって大きすぎる負担とストレスのある大変な治療。今後短い命でも現在は元気なのに、未来の延命のためとはいえ、治療すると具合が悪くなる。通院と治療はねぎまにとっていじめだ。
放射線と抗がん剤はしない、ホームドクターと対処療法していく
ねぎまはこの治療はしないことにした。した方がいい猫もたくさんいる。でもねぎまの性格や状態を考えて、大学病院での治療はしない。
状況をみながらホームドクターにねぎまの苦痛を取り除く対処をしてもらう。そう決心しました。
痙攣が起こる、そして高熱
この精密検査のすぐ後、ねぎまはストレスで食べなくなってしまって、元気がなかった。1か月くらいたってやっと元気が戻ってきた頃、痙攣が出てきました。
痙攣の知識、情報を集めておいてよかった。あれが突然起こったら、私はパニックになって、夜間動物病院などに飛び込んだでしょう。多い日は1日に5回、痙攣が起きました。
高いところから落ちないように、何かにぶつかって怪我をしないように見守り、勝手に激しく動く手足を毛布で包みました。
ホームドクターに抗てんかん剤と解熱のための座薬を処方してもらいました。(でも薬は飲ませられなかった・・・)
ああ、やっぱり長くないのかな・・・そんな気がしていました。
ところが7~8日間くらいたつと、痙攣が出なくなりました。これはねぎまが自分で痙攣を軽く済ませる方法を身つけた気がします。痙攣に身を任せれば短くて済むのですが、痙攣に抗おうとして筋肉を動かそうとすると余計ひどくなり時間も長くなる、そんなことを自分で気が付いたようです。
そして痙攣は起こらなくなりました。痙攣が起こらなくなったのはいいのですが、その後、高熱が続きました。
高熱で歩くのもふらふら。食事も取れない、食べたくない。寝ることもできない、寝ていると思ったら気絶状態のようにぐったり。ソファのうしろに置いたハウスでじっとしている。熱で朦朧として上を向いて眼が半分白目のときもある。排泄は3~4日に一度。私は排泄あるなしで一喜一憂。このまま弱っていくのか・・・。
ねぎま、奇跡の復活
それがなんと!精密検査の約2か月後、ねぎまの熱は下がり、食欲が徐々に出てきて排泄も毎日するようになりました。
奇跡かと思いました。だって無治療だと1~2か月の余命の可能性もあるって言われていたから。
ねぎまは高熱で腫瘍を小さくするべく戦っていた気がします。顔のコブも半分くらいに小さくなりました。
生検のために鼻から腫瘍を採取した時の傷で、血がまじった鼻水をくしゃみとともに噴出させていましたが、それがコブを小さくした気がします。
年が明けると、ねぎまはますます元気で、押し入れの天袋まで駆け登り、走り回り、熱が下がって元気になったのをとても嬉しそうにしています。
ねぎまの生命力
ねぎまはすごい。治療しなくてよかった。今後、病気が蒸し返して大変なことになるかもしれないけれど。
もうひとつ、ねぎまの回復の要因で感じることがあります。それは私が10月末で会社を退社して無職になったこと。
私は一昨年の年末から会社に居るのが難しく感じ始め、転職のためのスキルを身につけようとして仕事が終わった後、スクールに通っていたので、ねぎまと一緒にいる時間が少なくなっていたのです。
その間にねぎまは病気になってしまいました。猫も私と同じでストレスで病気になるのだ。ねぎまは寂しかったのだ。
そして昨年10月で会社を辞めて、無職になって一緒にいる時間が長くなったのです。朝昼晩と、いちゃいちゃタイムにゴロゴロ音を響かせます。
猫のゴロゴロの幸せパワーで病気も退散する!そんな気がします。
2か月の余命宣告から4か月たちました
4か月たった今、ねぎまは元気です。でもたまに痙攣はあります。今後どうなるかはわかりませんが、ねぎまと相談しながら対処していきます。
ねぎまはいろんなことを教えてくれています。たくさんの幸せももらっています。
ねぎまに感謝なのです。